富士市の無人航空機(ドローン)事情

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ドローンを購入し、いろいろやりたいと思っていたことがあったわけですが、なかなかうまくいかないものです。

特にドローンでしたいと思っていたことは、富士市の公園を上空から撮影することや、富士市上空から富士山撮影、または建築物の点検などです。

しかし、様々な障害があり、やりたいことをやるのに難しい状況に置かれてしまいました。今回はそのことについてお話ししたいと思います。

1.ドローン=悪いもの 悪いイメージがついてしまった

まず前提として、「ドローンにはあまり良い印象がない」ということがすべての問題の要因となっているかと思います。

数年前より、ドローンの知名度は上がってきました。非常に優れた機械であり、ここ数年で一般人でも購入することができるようになりました。

その技術を利用し、今まで見たこともないような写真や動画を撮ることができるようになりました。

しかし、誰でも購入しやすくなったがために、それが発端となった事件事故が起こるようになってしまいました。

注目された技術であるため、事件事故は大々的に報道されました。一度注目された関連事件や事故は話題性を集めるため、どんどん報道熱は過熱していきました。

これにより、「ドローン=悪いもの」といったイメージがついてしまったのは事実でしょう。

確かに機械物であるため、故障で墜落する可能性はあります。また、簡単に購入でき、さらに簡単に飛ばすことができるため、大した練習をしないで落下させてしまった人もいることは事実です。

これにより、ドローンに対する規制が作られ、強化されることとなりました。

この「規制」が今回私が直面した問題です。どんなものでも良い面と悪い面があり、ドローンに関しては悪い面に強くスポットが当てられ、「そのもの自体をよく理解しない者により強い規制がかけられるようになってしまいました」

これによりドローンを利用してできる画期的なことが潰されてしまっているのが現状です。

 

2.ドローンを飛ばすためにクリアしなければいけない問題

前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思います。

ドローンを飛ばすためにはいくつか守らなければならないルールがあります。これはドローンのみならず、無人航空機、つまり空飛ぶ機械関係すべてにおいて言えることだと思います。

[1] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[2] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[3] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[4] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[5] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[6] 無人航空機から物を投下しないこと

これは国土交通省のホームページ内で表示していることです。つまり国土交通省としてはこれらを守ってくれるのであれば、ドローンを飛ばしてもよいといっているわけです。

さらに、これら6つの制限外で飛行させたい場合には、国土交通大臣の承認を得る必要があるということです。

DJIの飛行可能エリアは以下

DJI FlySafe

要するにこのような感じです。

2016-09-06_16h58_22

拡大するとこんな感じです。

2016-09-06_16h58_52

これはメーカー側で発表されているものですが、富士川緑地公園、岩本山公園あたりは飛行できそうに見えます。

 

3.電話で関係各所に聞いてみることにした

知識が不確かな状態でドローンを飛ばし怒られるのも嫌なので、考えうる関係各所に質問をしてみることにしました。

■富士警察署に聞いてみた

まず質問したのは「富士警察署」。すると、「市役所で許可をすれば問題なく、警察自体で何か定めているということはない」といった内容の返答をもらいました。

ただし、明らかな違反区域で飛ばしていたら、そして通報があれば出動することもあるとのことでした。

妥当な回答かなと思いました。

■富士市役所に聞いてみた

ということで、次に富士市役所に電話をしてみることにしました。

市役所に電話をし、「無人航空機、ドローンに関して質問をしたいのですが、関連部署につないでくれませんか?」と言ったところ、「みどりの課」につないでもらいました。

そして出た担当者に「ドローンを飛ばしたいのですが、富士市はどこなら飛ばせますか?」という質問をしました。すると「どこも飛ばすことができないはず」といった返答をもらいました。

「国土交通省ではいくつか条件が示されていて、それをクリアすれば飛ばして良いとされていますが、富士市は全くNGなのですか?」

といった質問をしたところ、はっきりとしない迷った感じの返答をもらいました。

「海岸線であれば国土交通省の管轄だから大丈夫だと思うんですけどねぇ。そのほかの場所では・・・う~ん・・・。」

とやはりはっきりしません。

「こちらで話してみて、折り返し電話をします。」

そう言われ、電話を切りました。

 

4.他の市町村にも聞いてみた

■富士宮市役所に聞いてみた

富士市からの返答を待つ間、近隣の市町村はどのようになっているのだろうと思い、まずは富士宮市に電話してみることにしました。

富士宮市役所でもあまりドローン関連のことは把握していないらしく、部署で確認してから返答することのことでした。

電話を切りしばらくすると富士宮市役所から連絡が入り、次のような返答が返ってきました。

「特に規制は設けていません。イベントなどは人が多く集まるためご遠慮願っています。国土交通省のルールを守ればOKですよ。」

との回答でした。私からしてみれば最高の返答です。

■静岡市役所に聞いてみた

次に静岡市役所に電話をしてみました。

すると、基本的には静岡市ではドローンを飛ばしてはいけないとのことでした。しかし以前業者から「業務で使いたいから、安倍川で飛行訓練をしたい」と言われ、安倍川での飛行は許可したそうです。(とはいっても安倍川の多くは国土交通省管轄のはずなので、市の許可は特にいらないと思うけど。)

ただし訓練後、業務としてどこで飛ばしたかは不明とのことでした。

富士市と同じような回答であり、意に沿うものではありませんでしたが、電話対応は非常に丁寧でした。

■りぷす富士に聞いてみた

次に「りぷす富士」に電話をしてみました。富士市の主要な公園を管理をしている所です。
ここの返答は初めから「危険だからダメ!」の一点張りでした。電話対応も悪くただただ腹が立つだけでした。

それぞれの市役所への電話はもっと色々話したのですが、簡単にまとめるとこんな感じです。

ちなみに、富士市に関しては結局返答がなく、次の日にもう一度私から電話をすることしました。前日話した方は不在のようで、全く同じ内容の話をすることになりました。

「こちらで話してみて折り返す」

という前日の内容だったため、当然部署内の共通理解はできているものと思ったのですが、初めから話すことになろうとは・・・。

結局その時も明確な返答は得られず、折り返しの連絡を再び待つこととなりました。

すると今度はすぐに連絡が来て次のようなことを言われました。

「富士市都市公園条例の3条に接触するためドローンはNG」

という内容の返答でした。先方の言う条例の内容は以下の通りです。

『他人に迷惑又は危害を及ぼすおそれがある行為』

そこで私が言いました。

「この条例に接触するというのであれば、公園内で自転車に乗ったりすることもNGですよね。ぶつかる可能性がありますからね。あと、子供が自転車の練習をするのも駄目だろうし、さらにはランニングしている人も誰かにぶつかる危険性があるため、走れなくなりますよね。」

まぁ、自分で言っといてなんですが屁理屈です。

しかし市役所側からは「そうなる」といった内容の返答でした。

何を言っているんだか・・・。

なんかつまらないですよね。危険な可能性があるからできないなんて。スケボーもできないし、BMXもできない。インラインスケートもできないし、キックボードもできないということになります。

まぁ、正直、一市民が電話で何を言っても条例が変わるわけはないのであまり深追いはしませんでしたが、納得がいきません。

ただ「その条例を違反したらどうなるのですか?」と質問したところ、「特に何もない」といった内容の返答でした。なんだその条例・・・。

あと、電話対応した方の話し方が、終始、上からだったので、それに対して印象は最悪でした。

※別に市役所に恨みはないのですが、ここに電話をかける度に気分を害してしまうのは私だけでしょうか・・・。

■過去に富士市関係で気分を害したことを書いた記事

5.禁止するなら禁止するだけのしっかりとした理由がほしい

本当、富士市の市役所には電話をかけるたびに不快な思いをします。その点、意に沿わない回答でしたが、静岡市役所の電話対応は良かったと思います。対応の仕方1つで、例え意に沿わない回答が返ってきたとしても、受け取り側の印象は変わるものだと思うのです。

今回複数の関係各所に連絡をしたわけですが、問題と思うのは「ドローンについて明確に分かっている担当者がいない」ということでした。これは「危険性・可能性」の部分においてです。

富士市、静岡市に関しては、「ドローンについて良く分かっていないが、とりあえず危険なイメージがあるから飛ばしてはいけない」ということのようです。私はそういった印象を受けました。

やはりイメージだけで物事を判断されるのはいかがなものかと思います。

富士市の場合、富士市都市公園条例に定められる文言に接触するから禁止というのは、全く理解ができないわけではありませんが、この文言自体、意味が広すぎる気がします。なんでも当てはめようと思えば当てはまってしまいます。

 

6.例外もないのか

「富士市役所」「りぷす富士」に次のような質問もしました。

「例えば早朝など、誰も人がいないときにも飛ばしてはダメなのか?」

国土交通省で定めたルールには「人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること」とあるためです。

しかし両者とも「NG」とのことでした。また、「飛行許可の申請を取ることは可能なのか?」ということに関しても「そういったものはない」ということでした。

ここまで来ると、個人レベルでは完全に詰みの状態です。

 

7.飛行訓練がない者が飛ばすのはダメだと思う

国土交通省が定めたルールは、誰にでも当てはまるルールです。 しかし国土交通省に申請をおこない、国土交通大臣からの承認が得られれば、そのルールは適応外になります。

つまり、

「人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること」

というルールがありますが、申請を許可された人間であれば、このルールは適応されず自由に飛ばすことができるようです。

しかしこの承認を得るためには、「10時間」の飛行訓練が必要となってきます。つまり、練習をしそれなりの技術を持ち合わせなければいけないということなのです。

なので、「飛行訓練をし、国土交通省からの承認を得られたならば、明らかな危険地域以外であれば飛ばしても良いのでは?」と思うわけです。

ちなみにこれに関しても飛行NGを出した市役所に質問をしたのですが、やはり「NG」とのことでした。

 

8.大きな可能性を潰している認識はあるのか?

とにもかくにも、富士宮市以外、飛行NGをいただいてしまったわけですが、これは非常に大きな機会損失をしていると思います。

例えば、私は「富士市の公園探索ガイド」というサイトを運営しているわけですが、これらの公園を上空から撮影できれば、サイト利用者に有益な情報を提供することができると思っています。

また、富士市の場合、富士山があるため、それを上空から撮影できれば、かなり大迫力な写真や動画を撮ることができ、それをサイトやSNSにアップすることで、日本のみならず世界から注目を集められる可能性があると思っています。

さらに、例えば建築業者が屋根の点検をする際に、足場を組むかと思うのですが、その際にもドローンを飛ばせばすぐに屋根の点検はでき、足場を組まない分、大きなコストカットができると思います。

この他にも、数えきれないくらいの可能性をドローンは秘めているわけですが、これらの可能性を全て潰してしまっていると思うのです。

 

9.結局富士市の場合

結局のところ、富士市の場合は、飛行訓練は国土交通省の管轄である海岸線沿いですることができ、その後、国土交通省に申請を提出し承認されたとしても、飛ばせるのは海岸線のみということになってしまうのです。

ある程度自由に飛ばしたいのであれば、近い場所では富士宮市に行く必要があるようです。

ここでふと疑問が。

富士市ではドローンが満足に練習できないし、飛ばすことができない。

富士市にはドローン管理者(業者や個人)が少ない、もしくは極端に少なくなる可能性が高い。

万が一の災害が発生。

他の市町村からドローン管理者が来るまで生存確認、状況確認ができない。

災害時は時間との勝負なのに手遅れになるケースも出てくる。

極端な例かもしれませんが、可能性はゼロではないと思います。

 

10.今回の件で思ったこと

ある番組で2チャンネルの開設者である「ひろゆき氏」が次のようなことを質問をされていました。

「2チャンネルが発端となった犯罪がある。それに対して責任を感じることはないのか?」

それに対し「ひろゆき氏」は次のように答えていました。

「携帯電話は多くの犯罪に関わっている。では、携帯電話会社は責任を感じていると思うか?」

つまり、優れたものやサービスには良い面と悪い面がついて回るということです。扱う人のリテラシーにより良くも悪くもなりえるのです。

ドローンにおいてもそうです。使い方次第で良いこともできますし、悪いこともできます。問題は使う者の考え方、使い方。そしてそれを取り巻く環境がどの程度整備されているのかという点が重要なのです。

ただ単にマイナス面だけを見ていては、あらゆる可能性を潰してしまうと思います。

何事も「ダメ!」と言うのは実は簡単なのです。子供を育てるときも、「危ないからダメ!」と色々なことを禁止すれば、ある意味安全に大人になります。しかしそれは経験をしないで大きくなるだけです。可能性に詰まった子供の未来を、経験を禁止することで潰しているのです。

 

11.お断り

今回関係各所との電話でのやり取りは、電話で各所に問い合わせている間、メモに取った内容と記憶をソースとして記事にしました。そのため100%完全に再現できているものではありません。しかし、少なからずここに書いた内容の理解を私はしています。

あと、文章が長くなってしまい、途中自分でも迷いながら書いているところがありますが、言いたいことは伝わるかと思い、記事を公開しています。

この記事を書いた人
tomo

サイト制作、SEOに20年以上携わる。その知識や技術を活かしさまざまな企業のWEBマーケティングにコンサルタントとして携わり実績を出している。
WEBマーケティングに関する大学での授業やウェビナーでの登壇、さらには国際学会での発表を行っている。
ホワイトな施策を中心とし、安全に、そして確実にクライアントの数字を上げる施策を心掛け、高い成功実績を残している。

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