富士市の専門家派遣事業について言いたいこと 同意書の内容と制度自体に疑問を感じ登録を見送った

最近、たまたま見つけた富士市の専門家派遣事業。このような制度が富士市にもあるのかと思い見ていたら「マーケティング」というカテゴリを発見。

  • このカテゴリに登録されている基準は何?
  • 弊社でも登録可能か?
  • マーケティングの専門家ってどんな人?

といった疑問と興味が沸き、富士市役所に問い合わせてみたところから話は始まります。

実は以前、静岡県の専門家派遣事業に登録したことがありました。まだ事業を開始したばかりの時の話です。その当時は「専門家登録をしていれば仕事の話が来るのかも」と思い登録しました。結果として1度も話は来ませんでした。

そしてその時、登録した場所で言われたことと同じようなことを今回も言われました。それは「誰かこの制度を利用してくれる方を紹介してください」といった内容のことです。

「ん?」と思う人もいるかと思います。これに関しては後で説明します。

偶然見つけた富士市の専門家派遣事業

まず今回はたまたま富士市の専門家派遣事業というページを発見しました。そしてそこには「マーケティング」というカテゴリがあったのです。

専門家派遣事業

弊社ではWEBマーケティングを専門に行っているため、「どのような基準で登録されるのか?」「登録できるのであればしたい」と思ったわけです。そこで早速市役所に問い合わせたところ返ってきた返答は「商工会議所や商工会といった市内産業支援機関からの推薦があったほうがよい」とのことでした。

ここからまずこの後に続く疑問の1つ目が出てきました。

そもそも普通に生活している中ではそのような場所には縁はありませんし、推薦がもらえる状況ではありません。どこかに所属していないと専門家として登録の対象にならないというのはいかがなものか?と思ったのです。(実際そんなことはよくある話ではあるのですが・・・。)

そこで「とくに付き合いのある支援機関はありません。」と返答。すると「専門家登録を強化したいと思っているため一度話をしませんか」と返事が来たため、後日話をしに行くことになりました。

当日、市役所の担当部署で話しをし、その後、商工会議所で担当の人とも話しをし、登録に関わる書類をメールで送ってもらうことに。

結果として制度についていろいろ疑問を感じ、登録することを見送りました。

専門家派遣事業の登録を見送った理由

ここからは市役所と商工会議所の担当者の話を聞いた上での私の解釈です。

専門家派遣制度の流れ

制度としての目的は以下のような感じらしいです。

  1. 富士市内で事業に悩みを抱えている事業者が商工会議所に経営相談をしに来る。
  2. 相談員がその悩みを解決できるであろう人材を、専門家登録されている人の中からピックアップ。
  3. ピックアップした人を派遣する旨を市役所に通知。
  4. 専門家が悩みを抱える事業者の元へ行き問題解決。

といった流れのようです。

そして派遣された専門家の報酬の一部を事業者が支払うことになり、残りを富士市?商工会議所?どちらか知りませんが、支払ってくれるということです。専門家は1度の派遣で2万円~3万円ほど報酬を受け取れるといったものでした。(金額は定かではありません。確かこのくらいだった気がするという感じです。)

私が感じた疑問点

さてここから私が今回の件で感じた疑問点を挙げていきたいと思います。

  1. なぜ市役所に行ったのか?
  2. 専門家の定義とは?
  3. なぜ紹介する必要がある?
  4. 同意書が派遣された専門家にとってあまりにも不利すぎる
  5. そもそもこの制度を設置して何がしたいの?
①なぜ市役所に行ったのか?

どうやらですが、f-bizが休止してから登録専門家と関係を強化したいと考えているようでした。

ということは経営相談を行っていたf-bizが専門家派遣の窓口になっていたのかな?と思ったのです。そこがなくなってしまいうまく機能していないのでしょうか?

結局市役所に言って話したことは、自己紹介と専門家派遣制度の概要の説明を受けた程度です。

「わざわざ時間を作りここに来てまで聞く話ではない」

と思ったわけです。

私の中では「今までどのようなことをしてきたのか?どのような実績を持っているのか?」ということを聞かれるかと思っていました。しかしどうやら違ったようです。

②専門家の定義とは?

市役所の後に商工会議所に行き、やはり担当者と話をしたのですが、専門家に登録するための書類や同意書をもらいました。

やはりここでも実績を聞かれることはありませんでしたし、何ができるのかということを聞かれることもありませんでした。

そこで思ったのは「自称で専門家登録できてしまうのでは?」ということです。

専門家とはエキスパートです。実績を上げてなんぼだと思っています。しかしこの登録の仕方では誰でも登録できてしまうと思ったのです。

「富士市の求める専門家とは?」

この言葉が頭をよぎりました。

③なぜ紹介する必要がある?

冒頭でも少し話したのですが、「誰かこの制度を利用してくれる方を紹介してください」といった内容の話をされました。

私は「?」と思うとともに、そういえば以前、静岡県の専門家に登録した際にも同じようなことを言われたことを思い出しました。

つまり「専門家派遣制度を利用してくれるお客さんを連れてきてくれませんか?」という内容です。

面白いことを言うなぁと思ったわけです。以前も今回も。

確かに悩みを抱えている事業者からすると、専門家を補助金を利用して安い金額で相談できるため良い制度となるかと思います。

この事業の関係者からしてみても、この事業の利用者が増えるわけですから設置している意味があります。

しかし専門家の立場からしてみると正直利益にはなりません。確かに1回の派遣で2万円~3万円をもらえるかもしれません。でもそれだけです。ちなみに同一年度、1案件について5回の派遣までのようなので×5の利益になるようですが、それだけです。

もし本物の専門家であれば、この程度の金額ではありません。もっと高額です。それだけの知識と経験を持っているためです。だからこそ問題解決をすることができます。

そもそもですが、専門家にお願いするほど困っているのであれば、数回の派遣程度で何とかなることはないと思います。徹底的に密着して連携を取らないと問題解決は難しいと思うのです。手術をするレベルの傷口に絆創膏を貼る程度の話です。

専門家からしてみると直接契約をしたほうが成果が出やすいし、何よりも利益になります。契約形態を成果報酬にして、上がった売り上げの数%をもらったほうがよほど利益になります。

④同意書が派遣された専門家にとってあまりにも不利すぎる

今回の登録を見送った決定的な理由は「同意書の内容」です。

要するに「派遣先で損害を出した場合、または派遣中に事故や災害にあった場合、富士市は責任を負わない。自分で責任を負ってくれ。」という内容です。

損害をあえて出すようなことはしませんが、こちらが直接の原因でなかったとしても何かしらの損害が出たときに、無理やり言いがかりをつけられる可能性があるわけです。それでも派遣された専門家がすべて責任を取りなさいという話なのです。

それでは会社が持ちません。このような契約の元、仕事を請け負うくらいであれば、自分で仕事を取ってきたほうが全然リスクがありません。

⑤そもそもこの制度を設置して何がしたいの?

この制度は何が目的なのでしょう?

富士市内の悩みを抱えている事業者を助けることが目的であるとするならば、もっと知名度を上げたほうがよいでしょう。

私が知らないだけかもしれませんが、事業に不安を抱えたとして商工会議所や市役所に相談したいとは思いませんし、そこで相談が行われているとは知りません。

もし相談をするなら、自身が経営を行っている人に相談をします。もしくはどこかの会社の経営を改善させたという実績のある人です。

もっと意味のある事業にしてほしい

市役所の担当者にも言ったことですが、別にお金が欲しくて登録に興味を持ったわけではありません。

WEB界隈の話になりますが、実績を出していなくてもコンサルタント(専門家)と名乗っている人がいます。そしてその被害に直接合ったり話を聞いたりして「WEBマーケティングって大したことない」と思っている人がいます。

そのことを話した上で、「しっかり施策をすれば少なからず成果は上がるというのを、少なくても富士市内に広まられればよいと思っています。正直この金額に魅力は感じないし、むしろ相談くらいなら無料でもよい」と伝えました。

生意気に思われたでしょうね。でも本音です。実際これまでも何度も相談を受けてきましたし、その都度、相談料はもらっていません。

この制度自体は悪いものだとは思いません。ただもう少し中身を何とかしないと「とりあえずやってますよ」くらいの形だけの事業にしかならないと思います。

※時折、富士市の制度関連の愚痴をこぼしていますが、別に敵を作りたいわけではないですし富士市は好きです。やるならもっと何とかなるだろと思うことがあるだけです。おそらくそれは他の市町村にもあることでしょう。せっかく税金を利用していろいろやるならもっと意味のある事、成果の上がることをしてほしいと思います。

この記事を書いた人
tomo

サイト制作、SEOに20年以上携わる。その知識や技術を活かしさまざまな企業のWEBマーケティングにコンサルタントとして携わり実績を出している。
WEBマーケティングに関する大学での授業やウェビナーでの登壇、さらには国際学会での発表を行っている。
ホワイトな施策を中心とし、安全に、そして確実にクライアントの数字を上げる施策を心掛け、高い成功実績を残している。

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